政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 秋瀬くんの瞳は私だけを移している。秋瀬くんのこういう目は嫌いだ。言葉にしなくても、好きだという気持ちを痛いほど伝えてくるから。

「キスさせてくれないなら、好きって言って」

「場所を考えてよ、場所を!」

 いいぞいいぞ、なんてヤジはもう聞こえない振りをする。今の私なら。この復讐としてデザインチームの共有フォルダを全部削除してやれそうだ。

 秋瀬くんの肩を掴んで、キスしてこようとするのを必死に抵抗する。かなり本気で力を入れているはずが、じりじりと押され始めていた。酔っているくせに、なんで秋瀬くんはこんなにも力を発揮しているのか。

「今、ここでキスしたらもう二度としないから」

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