政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
短編:出張中のふたり2

 秋瀬くんがいなくなって一日目。

 仕事を終えて帰ってきた私は、がらんとした家の寒々しさから、改めて秋瀬くんの不在を思い知った。

 普段だって私が先に帰ってきて、誰もいない家に出迎えられることがある。それなのに、このあとお帰りを言うまでしばらくかかるのだと思うと、胸の奥がつきんと痛んだ。

 私は自分が思っていたより寂しがり屋だったのかもしれない。

 スーツを着替えてバッグをしまい、すとんとソファに座る。

 いつもだったら秋瀬くんが思い切り体重をかけて寄りかかってきた。人がテレビを見ているのにちょっかいをかけてきて、私が怒るとうれしそうに笑うのだ。

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