政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 いつもなら動揺してしまう私も、今日は広い背中に腕を回しておとなしく受け止めた。呼吸がうまくできなくて苦しいけれど、今はそれが気持ちいい。

 は、と乱れた吐息をこぼした秋瀬くんが私を見つめる。

「話したいこと、たくさんあったんだぞ。それなのに、なんで誘惑するんだ」

「……ごめん?」

「許すわけないだろ。俺がどれだけ真白不足だったのか思い知れ」

 深いキスは終わりを感じさせないほど長く繰り返され、私の渇いていた心を潤してくれた。

 私だって秋瀬くん不足だったのは同じだ。

 今夜は存分に満たしてもらうことにしよう――。


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