政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 んぐ、と秋瀬くんから奇妙な音がした。びっくりした私の前でむせながら、慌てたようにお茶を飲む。

「それ、飯のときにする話か……?」

 ようやくひと息ついた秋瀬くんに尋ねられて首を傾げる。

「別のときにした方がよかった?」

「いや、真白がいいならいいけどさ。大事な話なんじゃなかなーと」

 再びもやしを食べようと動かした手が止まる。たしかに言われてみればそうかもしれない。

 母があまりにもさらっと話題に出したせいで、私もどうやら麻痺していたようだ。

 同時に、秋瀬くんの発言に少し驚いた。当たり前のように『大事な話』と言ってくれたのが、なんだかうれしい。

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