政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 考える前に口からこぼれ出たそれは、今話すにはいささか早い内容だった。秋瀬くんが意外なほど乗り気だからといって、すぐに話す必要はない。

 でも、聞いてしまった。より具体的な話にしたくて。

「仕事で困るのは俺じゃなくて真白だろ。産休だって取らなきゃならないだろうし。もちろん俺もサポートするつもりではいるけど」

「……本気なの?」

 おそるおそる聞いた私に向かって、秋瀬くんは呆れたように溜息を吐いた。

「なんで俺がそこまでしないと思ったんだ?」

「だって……」

「真白のためならなんでもするよ。どうしても仕事をしたいなら、そういう環境を整えてもいい」

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