政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 高遠さんが最後まで言い切る前に、秋瀬くんが私の隣に座る。座っていても身長差のせいで見上げなければならないのが、悔しかった。

「今、高遠さんとお喋りしてたでしょ。秋瀬くんはあっち」

「邪見にするなよ」

 笑いながら、秋瀬くんは当然のように私の頭を手で引き寄せた。

「ちょっと」

「嫉妬するだろ」

 ドキッとするくらいはっきり言うと、秋瀬くんはそのまま私の額にキスをした。

 私も驚いたけれど、高遠さんの衝撃も伝わってくる。

「秋瀬く――」

「高遠さん」

 秋瀬くんがもがく私を押さえ込みながら、いつもと少し違う固い声色で言う。

「こいつ、もう俺のだから。ごめんな」

 その声は、ちょうど賑わいが途切れた一瞬の隙間に落ちた。

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