政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 妙に響いたせいで、その場にいたチーム全員の視線がこちらに向く。

「え、なに、今の」

「秋瀬、お前やっちまったな」

「おっ、修羅場か?」

 やいやい茶化す男性陣のおかげで酒の席のネタに昇華できそうだったのに、秋瀬くんは立ち上がって私の手を引いた。

「ダブル和泉、先に抜けまーす」

「えっ、ちょっと待って、秋瀬くん――!」

 私が止めるのも聞かず、秋瀬くんはさっさと居酒屋を出る。

 いったいなにが起きているの。

 突然の出来事のせいで一気に酔いが回り、足がふらついてなにも考えられなくなる。

 背後ではメンバーたちの盛り上がる声が聞こえていた。



「あのさ」

 帰宅するなり、秋瀬くんは私をまっすぐ寝室へ運んだ。ベッドに寝かされ、起き上がろうとした肩を押される。

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