政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 慌てたように秋瀬くんが私の身体を支え、抱き留めてくれる。だけど私をこんなふうにしたのはほかでもない秋瀬くんだ。

「足に力入らなくなるほどよかった?」

 すり、と秋瀬くんが私の頬を指で撫でた。その指がさっき私の手のひらを愛撫し、絡んできたのを思い出してきゅううっと胸が締め付けられる。

「もういじめないで……」

 肩で息をしながら必死に訴えると、秋瀬くんがくっとなにかを堪えるような顔をした。足元に落ちたアイスを拾い上げ、私に押し付けてくる。

「溶けるから早く食べな」

 こちらを見ずに言われ、戸惑いながら受け取る。先程奪ったときよりも柔らかくなっていて、アイスが溶けるほど深くキスを交わした事実を突きつけられた。

「秋瀬くんは……?」

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