政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 私ですら覚えていない「おいしかった」という言葉を、ちゃんと覚えて今も大切にしてくれている。気恥ずかしいような、うれしいような、落ち着かない気持ちになった。

 顔を合わせられないまま、会議室のドアを開く。荷物を持った秋瀬くんのあとに出てから、隣に並んで廊下を歩き始めた。

「そういや、和田さんとこのチームの子からしろちゃんに伝言あったんだった。去年のまとめをありがとうございましたって」

 秋瀬くんが言うのは、私たちの所属するチームとは別のデザインチームだ。私たちのチームが葉鳥チームと呼ばれているように、そちらのチームもリーダーの名前を取って和田チームと呼ばれている。

「ああ、よかった。ちょっとわかりにくかったかなって心配してたの」

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