夢物語でも語らせて

 その日の晩。

 いきなり計画が崩れた。

 穏やかにゆらめく海。

 また今日見た夢。

 偶然?

 なんだかそうは思えなくなってきた。

 「友人関係で悩んでるみたいだね…」

 綺麗な声。

 「僕は君が夢を叶えるのを見届けるために、ここにいるんだ」

 「何者なの?あなたは、だれ?なまえは?」

 「夢の住人さ。何者でもない。好きに呼んでくれて構わないよ。」

 「私は、どうしてこんな夢見てるの?」

 「自分自身の叶えたい夢があるから」

 また夢の話だ。

 自分に夢なんてあると思えない。

 進路希望調査だって、あずさと一緒のところで、あずさがいればそこに行く。

 あずさの夢は私の夢…。

 「君は夢を、叶える力がある。」

 その目が私の心をつら抜いた気がした。

 だったら…!

 「私、前にあなたが海を見ていた目…!あの目で、私のこと見てもらいたい!」

 そしたらあずさのこともわかるかもしれない。

 あずさも、恋を知ってる私になら話してくれるかもしれない。

 なにより、私自身、信じられないけど…!
 もう。あの目の虜になってしまったんだ!!

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