看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
「果歩さん…それでも、やっぱり今の俺の状況では、喜びと戸惑いがあるのが正直な気持ちだよ…果歩さんの未来にも大きな影響を与える…」

果歩は、涼太朗の気持ちが痛いほどわかる気がする。残される者の哀しみはもちろんだが、残していく者も不安だろう。

「涼太朗さん、素直に喜んでもらえませんか?私は、本当に嬉しいです。後悔なんて全くありません。それよりも、この子に一日でも長くパパの姿を見せてあげて下さい。沢山の思い出を私達に下さい。人の命には限りがあります。元気な人でも、事故に遭ったりして突然命を奪われる事もあるんです。涼太朗さんはまだ時間があります。残りの時間の全てを私達に下さい」

「果歩さん…」涙を流す涼太朗。

「橘果歩にしてもらえますか?」

「本当にいいのか?後悔しない?籍を入れなくても認知はするし、ふたりには俺の全てを遺すつもりだよ」

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