今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
 今日一日を思い返したが、何も思い当たらなかった。ただ、午後は少し様子がおかしかったから、午前中に何かあったのかもしれない。

(明日にでも、聞いてみるか)

 相澤はすやすやと寝息を立てる陽茉莉を見下ろす。

「あっ、そういえば。後もうひとつ、あなたのことでよく言ってることがあるわ」

 女がポンと手を叩いてにこりと笑う。

「とんでもなく、猫だって」

 女が楽しげに笑う。

「……猫?」

 相澤は、意味がわからずに眉を寄せた。
 女はそんな相澤のことを見つめ、目尻を下げる。

「ありがとうございました。今度はふたりで遊びに来てね」

 陽茉莉を抱き上げて外に出ると、閉まりかけたドアの向こうから女の明るい声がした。


< 114 / 296 >

この作品をシェア

pagetop