今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

 ああ、酔ってないって言ったけど、やっぱり私は酔っているのかもしれない。

 普段なら「申し訳ありません」と一言謝って終わらせられるような場面なのに、絶対に言わないような台詞が口から飛び出した。陽茉莉は、ようやくタクシー会社に電話を始めた相澤の腕を振り切ると、駅の方向に走り始める。

「おいっ、新山!」

 背後から焦ったように呼びかける声がしたけれど、振り返らなかった。
 今は、相澤の顔を見たくない。がむしゃらに走って角を曲がる。

 ──そのときだ。

「ヒヒッ!」

 耳障りな声が聞こえた。

「コンナトコロデ、ミツケタ」
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