今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
「もうすぐいい知らせが聞けそうな気がするから、私からサービス。上から見ると満月みたいで、今夜にぴったりでしょ?」
「いい話?」
「そ。私の女の勘、意外と当るんだから」
潤ちゃんは意味ありげにウインクする。
陽茉莉はおずおずとそのカクテルを口に含む。
オレンジジュースの甘さとシャンパンのシュワシュワが混じり合い、大人向けのオレンジソーダのような味わいだった。
「ありがとう。また来るね」
「ええ、いつでも大歓迎」
潤ちゃんはひらひらと手を振る。エレベーターの中に消えた陽茉莉の後ろ姿を見送り、ひとり口の端を上げた。
黄色のミモザの花言葉は〝秘密の恋〟。
まさに、今の陽茉莉に贈るにはぴったりのカクテルだ。