今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
陽茉莉はおずおずと、相澤に声をかける。
答えてはくれないけれど、自分から離れたということはもう大丈夫だということだろうか。
「なあ」
「はい?」
相澤はぽすんと反対の端に座ると、深い溜息をついてからこちらを見つめた。そのまっすぐな眼差しに、落ち着きを取り戻しつつあった心臓がまたドキンと跳ねる。
「前から誘おうと思ってたんだけど、一緒にホテルに行かないか?」
「……ホテル?」
それはつまり……そういうお誘い!?
これ以上にない位に目を見開いた陽茉莉を見つめ、相澤がふっと笑う。
「──三人で」
「さ、三人?」
「そ。カノンリゾート東京、プレゼン当日までに下見したほうがいいと思うんだ」
にこりと微笑む相澤を、陽茉莉はぽかんと見上げた。