今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

 偶然にしてはできすぎている。
 邪鬼に襲われたところで、たまたま犬が現れて、調子よく邪鬼がいなくなる。

 それだけじゃない。
 飼い主の男の子が後日現れて、邪鬼から守るお守りをくれた。
 陽茉莉より少しだけ年上の男の子だった記憶がある。

(あの男の子、どんな顔をしていたっけ?)

 なんとか思い出そうとしたけれど、幼い日の記憶は曖昧ではっきりとは思い出せなかった。けれど、とても綺麗な顔をしていると見惚れたのだけは覚えている。

(あれって、もしかして相澤係長?)

 何ひとつ証拠はないけれど、なぜか確信めいた予感がした。

「そういえばね、もうすぐお父さんが帰ってくるの」

 横にいる悠翔が、嬉しそうにそう言った。
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