今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
    ◇ ◇ ◇
 

 陽茉莉は壁にかかった時計を見上げる。長針は、さっき見たときから三〇度位しか進んでいなかった。

「礼也さん、遅いなぁ……」

 話したいことがある日に限って、相澤はなかなか家に帰ってこなかった。
 既に時刻は夜の八時を過ぎている。

 週末に邪鬼退治に行くことは度々あるが、いつも夕食の前には帰って来た。それなのに、何の連絡もないなんて。

「お兄ちゃん、連絡ないの?」

 何度も時計を見上げる陽茉莉の様子を見て、悠翔が不安げな顔をした。
 陽茉莉はその表情を見てハッとする。
 悠翔は、こんなに幼いのに邪鬼に呑まれて母親を亡くしている。相澤にまで何かあったのかと、不安になったのだろうということはすぐに予想がついた。
< 249 / 296 >

この作品をシェア

pagetop