今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
「悠翔君。お兄ちゃん、優しい?」

 陽茉莉はなんの気なく、悠翔に尋ねる。

「うん、すっごく優しい。お仕事がない日は遊んでくれるんだ。この前はあっちでサッカーしたよ」

 悠翔はぱあっと顔を輝かせ、公園の向こう側を指さす。そっちには、市民が自由に使用できる多目的グラウンドがある。

「へえ……」

 縁あって相澤のマンションに転がり込む前まで、陽茉莉はてっきり相澤の休日は美人な恋人とデートにでも行き、夜は高級レストランでディナーでもしているのかと思っていた。
 想像と現実はだいぶ違うようだ。
 そもそも、今のところ相澤に女の影を感じたことがない。

「お休みの日のお仕事って、あのお化け退治のお仕事かな?」

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