今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)
そして、ふと先ほど見送った相澤の表情が思い浮かぶ。陽茉莉が見送ったときに、驚いたように目を瞠り、次いで照れたように笑った。
兄弟だけあり、どことなく相澤と悠翔は笑った表情が似ている。
(あんなことで照れるなんて、ちょっと意外……)
朝、美女に見送られることなんて日常茶飯事。なーんてイメージだったけれど、これまでの女性の影のなさから判断しても、実際は違いそうだ。
(なんか、可愛いじゃないか!)
陽茉莉はサンドイッチを作りながらふふっと笑みを漏らす。
「お姉ちゃん、なんか楽しそう」
「そうかな?」
不思議そうな顔でこちらを見上げる悠翔になんでもないと笑いかけると、陽茉莉は作りたてのサンドイッチをお皿に盛り付けた。