運命の一夜を越えて
少しだけ寂しそうな渉の表情に、私は自分の過去を黙っていることがフェアじゃない気がして、胸が苦しくなった。
「のこされた家族はつらいわよね。だって、いつまでもその人がいない世界で生きないとならないんだもの。ぽっかりと大きな穴が開いた世界で、生き続けなければならないんだもの。」
母が父の遺影の方を見ながら言う。
「そうですよね。」
「主人もがんで亡くなったのよ。」
「そうでしたか」
母が私の方に視線を移す。
渉の反応に父の話も詳しくはまだしていないことを知った母は、私の方を複雑な表情で見つめた。
「でも、私には娘がいたし、主人が残してくれた家族がいたからここまでこられたわ。きっとあなたのお父さんも、あなたの存在に救われたはずよ。うんん。きっと今もね。」
母が渉に視線を移すと渉は穏やかに微笑んだ。
「そばにいなくても、時々顔を見せてくれるだけでも、親は十分なのよ。連絡は欲しいわよ?心配だから。でも、知らせがないのだってきっと充実しているんだろうなって、我が子を信じているからこそ、想像して満たされるのよね。親ってそんなものよ。」
母は渉や私が自分たちの家族に対して感じているほんの少しの罪悪感をまるで知っているかのようにそう言って微笑んだ。
「のこされた家族はつらいわよね。だって、いつまでもその人がいない世界で生きないとならないんだもの。ぽっかりと大きな穴が開いた世界で、生き続けなければならないんだもの。」
母が父の遺影の方を見ながら言う。
「そうですよね。」
「主人もがんで亡くなったのよ。」
「そうでしたか」
母が私の方に視線を移す。
渉の反応に父の話も詳しくはまだしていないことを知った母は、私の方を複雑な表情で見つめた。
「でも、私には娘がいたし、主人が残してくれた家族がいたからここまでこられたわ。きっとあなたのお父さんも、あなたの存在に救われたはずよ。うんん。きっと今もね。」
母が渉に視線を移すと渉は穏やかに微笑んだ。
「そばにいなくても、時々顔を見せてくれるだけでも、親は十分なのよ。連絡は欲しいわよ?心配だから。でも、知らせがないのだってきっと充実しているんだろうなって、我が子を信じているからこそ、想像して満たされるのよね。親ってそんなものよ。」
母は渉や私が自分たちの家族に対して感じているほんの少しの罪悪感をまるで知っているかのようにそう言って微笑んだ。