運命の一夜を越えて
「よかったね」
「ん?」
「あんなに素敵な人と出合えて。」
「うん」
「彩」
「ん?」
電気を消した真っ暗な部屋の中。
小さな廊下の豆電球の光がかすかに部屋に入ってくる。

その光が母の瞳の中で揺れていた。

「元気に産んであげられなくてごめんね」
「お母さん・・・」
そんなこと言われたの初めてだ。

「彩」
「ん?」
私まで泣きそうになってぎゅっと唇をかみしめる。
「幸せになってね。」
母の穏やかな声が私は大好きだ。
いつだって優しく包み込んでくれる。
いつだって安心できる母の声が、全身に温かなぬくもりと共に響く。
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