運命の一夜を越えて
「まっすぐな目でおばあちゃんと話してる彩は、すっごいきらきらしてた。屈託のない目をしていて、あーこの子なんてきれいな目をしてるんだって、俺はくぎ付けになってたんだ。だから、あの日再会した時にあまりのギャップがあって、余計に惹きつけられた。」
人と距離をとらなくてはならないと、私自身が壁を作っている時ばかりだったあの頃。
でも、偶然出会ったそのおばあちゃんにはそんな壁なんて必要ないと思っていたから、渉のギャップという言葉には納得がいった。

やっぱり渉にはなんだってお見通しなんだ。

「運命だって思った。」
「・・・」
「もう一度彩と出合えたこと、俺、運命だって思った。」

渉の言葉が心にぐさりと突き刺さる。

だってこれは決してハッピーエンドの運命じゃない。
むしろ、悲しい結末しかない運命・・・

「絶対に逃したくない運命だって思った。がむしゃらにでもつかみたいって思ったんだ。」
「・・・」
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