運命の一夜を越えて
「戸田さん、お昼行っていいわよ。1時から会議だから、それまでに戻って準備お願い。」
上司からの言葉に私は頷いてから、すぐに会議を予定している部屋に向かった。

食事をしても何も満たされず、何も味がしない。
食べる意欲を失っている今、何のために食べるという行為をするのか、意味を見出せずにいた。

胃袋も小さくなっているのか、休憩中に飲むコップ一杯のコーヒーだけでも一日過ごせるくらいの体になっていた。

時々、仕事に支障が出たら大変だからとゼリー飲料や栄養ドリンクを無理やり飲む。

前はこの手の物は味が濃いと思っていたのに、今は味を感じない。
ただ、自分の体の中に取り込むために、口に含んで飲み込むという行為をしているだけで、正直面倒にすら思える。

お腹がすいたから何かを食べるのではなく、頭で体を動かすことを考えて、気づいたときに取り込むロボットのような状態になっていた。

だから仕事が忙しい今、別に仕事の合間をぬって食事をしなくていい。
いっそ、休憩時間など余計なことを考えてしまうだけなのだから、いらない。
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