運命の一夜を越えて
渉はすぐにキッチンへ戻ってしまった。

気付けばあたりは暗くなっていて、いつの間にか私はソファで眠っていた。
体にはしっかりと毛布が掛けられている。

体を起こすと、そこに渉はいなくて、私はソファから立ち上がると渉を探し始めた。

でも、家の中に渉はいない。

私はずっと放置していた携帯電話を開いた。

そこには渉から『買い物に行ってくる』とメッセージが入っていた。

広い部屋。
この部屋は渉が独身の時から住んでいる部屋だ。
この部屋に一人になることはあまりない。

やけに広く感じる部屋で、私は自分のお腹に手をあててみた。
何となく、渉の前で自分のお腹に触れることができなかった。
赤ちゃんにごめんねと繰り返す。

あなたには何も罪はないのに。ママに奇跡をくれたのに。あなたの存在をパパと一緒に素直に喜べなくしてしまったのは、すべてママのせいだと心の中で伝えながら、私はしばらくまだ平らな自分のお腹に触れた。
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