運命の一夜を越えて
「俺がちゃんとしていれば・・・彩の命を危険にさらすようなことはなかったかもしれない。」
彩は子供ができないと聞いていた。
でも、子供がいつできてもおかしくはない状況を作っていたのは俺だ。
ちゃんと検査もしないで。
もしも妊娠をしたら彩の体にどれだけの負担をかけるのか知りもしないで。
考えが浅はかだった。彩にばかりつらい思いをさせて、苦しい思いをさせて、痛い思いをさせて・・・。俺じゃない誰かと一緒になれば彩はこんなにも苦しい思いをしないですんだのではないかと思わずにいられない。

もちろん命はうれしい。
彩と俺の子だ。かわいくないわけがない。
むしろ可愛すぎて今からどうにかなりそうなくらいだ。

でも・・・違う形の幸せだってあったはずだ・・・

いつの間にか俺の前に立っていたお義母さんが、泣きはらした目で俺に微笑んでいた。
「あなたと彩が出会えて、あの子すごく幸せそう。生きてきた中で一番いい顔をあなたと一緒だとたくさん見せるあの子に、渉君には感謝してもしきれないと思っているのよ?」
優しい言葉に俺はぐっと唇をかんで泣かないようにこらえる。
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