運命の一夜を越えて
「なんか、ぴったりしないっていうか。しっくりこないっていうか。」
「難しいんですね。」
「そうなのかな・・・。」
本気で考えている様子の彼を見ながら、私はどこか自分と似ているような気がした。

無理やり本気にならないように心を閉ざしていた私。
本気にならないようにとしていたものの、いままであとをひいた恋はひとつもなかった。

それはまだ、本気になるような相手に出会ってなかったからなのかもしれないと、内心思っていた。気づかないふりをしていたけど。


「あっ、これ」
そう言って話題を変えるように瀬川渉は小さな箱を私に出してきた。

「え?」
「今日、クリスマスだからさ。」
・・・困る。私は何も用意していないし、プレゼントを贈り合うような関係じゃない。
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