運命の一夜を越えて
私が手を出さないと、彼は机の上に置いていた私の手を取り、私の手にその箱を渡してきた。

「困ります」
正直な気持ちを伝えると、瀬川渉は笑いながら「そんな大したもんじゃないから」と手を離した。

「俺、初めてなんだ。何をしてる時も、どこにいるときも誰かのことが頭から離れないのって。」
まっすぐな瞳に見つめられると、視線をそらせなくなる。

「本当にそれ、大したもんじゃないから」
「・・・ありがとうございます・・・」
これで最後だからと言い聞かせながら私は受け取った。

「開けてみて」
その言葉に丁寧にリボンがかけられたその箱を開ける。


・・・きれい・・・

そこには小さな小さな天使のガラス細工が入っていた。
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