誰よりも近くで笑顔が見たい
「じゃあ、1時間後にここ集合で」


なのちゃんがそう言って、私たちは二手に別れた。


「何かしたいことある?」


「特には……」


「じゃあ、ゲームセンター行こ」


上原くんは、私の手を引いてくれる。


掴まれた手を私も握り返して、歩いた。


子供だけでのゲームセンターは、未知の世界だった。


理由は、いつもと同じ。


その中で見つけた一つのぬいぐるみ。


マグカップに犬が入ってるデザインのぬいぐるみ。


でも、私には取れないかも……。


「これ、欲しいの?」


それに気づいた上原くんがそう聞きながらお金を入れる。


「えっ、私、出すよ……」


「いいから」


自由自在にアームを動かして、ボタンを押すとアームが下に下がって、そのぬいぐるみをぎゅっと掴んだ。
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