誰よりも近くで笑顔が見たい
あ、取れそう……。


じーっとそのぬいぐるみを見つめていると、アームが開いた。


ぬいぐるみが落ちて、取り出し口にあった。


「はい」


上原くんに渡されて、受け取るとそのぬいぐるみを抱きしめた。


「ありがとう……」


ふわふわで柔らかいぬいぐるみの感触に笑顔が溢れる。


嬉しい、な……。


それから2人で、クレープを食べたり、本を買ったり、また別のゲームで遊んだらして1時間を過ごした。


「おっ」


約束の時間に集合場所へ行くと、なのちゃんも杉本くんも買い物をしたのか大きめの袋を持っている。


「それ、蓮が取ったのか?」


杉本くんが私が持ってるぬいぐるみをさして、言う。


「ああ」


「さすがだな」


上原くんは、クレーンゲームが上手みたい。


それから少しだけ歩いて、私たちのお正月は幕を閉じた。


夜は、そのぬいぐるみを抱いて眠った。
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