最後の悪夢

「旭、真面目だからなあ」





涙が、こぼれた。


分かった。凛上はカッコいい。
周りの目とか気にしないんだ。

一人だけこの世界の空気から浮いている存在。声を聞くと心が安らぐ存在。

凛上の顔って本当に綺麗だ。
私を見つめる瞳が、毛布に触れるみたいに柔らかくて優しい。

赤みのある健康的なその唇がゆるやかな弧を描いてきゅっと、一つに結ばれている。

心の中まで綺麗なんて。


なんでこんなことに今まで気づかなかったんだろう。
なんでこの人の事もっと早くに見つけられなかったの、私は。



「でも俺、お前を苦しめるんだったら、離れるよ?」
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