最後の悪夢

凛上がついてきていようがいまいが関係なかった。もうただ目の前の道を走ることだけだった。


凛上のことを気にする余裕もなかった。
私は後ろで凛上が刺されているかもしれないのに走っていた。


ふと入川くんのことが思い出された。流れる景色。血の臭いがした気がした。


私は人殺しなのかもしれない。

こんなことをするから私への好意はこの世界から一ミリも残らないで殺されるのかもしれない、と思った。

振り返ることができない恐怖。振り返ったらもうおしまい。私は死ぬ。なんなら振り返らなくてもいつか死ぬ。

怖い怖い怖い怖い怖い!


走りながら心が絶叫していた。
一刻も早く鬼から逃げたかった。
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