最後の悪夢
でも、
「ごめん気づかなかった」
気づいたら、凛上が私の隣を走っていて。
完全に出遅れただろうと思ったのに、凛上は、私を気にかける余裕さえ持って、走っていた。
もう大きな、あまり人気のない道に出ていた。それでも私達を不思議そうに見る人が、過ぎていく視界に映った。
息が乱れる。
私は安心して、後ろを振り向いた。
数メートル先すぐそこに鬼がいた。ゾッとして吐く息が震える。
「アイツ撒く、ついてきて」
凛上がそう言って私の前に出た。
「撒けるの!?」不安で尋ねる。
「やって、みる」
風の音にかき消されそうな凛上の声。