最後の悪夢

──速い。



すぐに角を曲がって細い小道に入る。行き止まりなら必ずアウト。笛の音がする。どこかから太鼓の音もする。

狭い道を、私の前を、風のように走る凛上。

鞄を置いてきて正解だった。こんなのすぐに置いていかれてしまう。速い。



必死で後を追う。

そうして小道を出て今度は、さっきとは違う右に曲がり、手前から2番目の、扉のない開放された店に駆け込んだ。

咄嗟に高さのある商品棚の裏に隠れる。

中にいたお客さんが驚いたように私を見ていた。真剣な顔でレジにいた人にジェスチャーをして、黙っているように促す凛上。
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