最後の悪夢
レジの人は分かってくれたようだった。
驚いたのは、凛上が、私と違ってほとんど息をきらしていないこと。
私が腕に口元を当てて、咳を殺している間も、凛上はいつでも逃げられるような格好で、静かに待っていた。
肺が痛い。
自分の心臓の音でなにも聞こえない。
浅い呼吸。静かにしよう静かにしようと思うと喉の辺りが息苦しくて詰まってくる。変な寒気がした。さっき吐いたことを思い出して「うえ」と嘔吐いてしまう。
「大丈夫?」
囁き声で凛上が私に問う。
自分が情けなくて申し訳なく思いながら、コクコクと頷いた。