最後の悪夢

合宿三日目。
零時になって部屋を出たら、通路に花巻がいた。

俺を見つけるなり、険しい顔をして駆け寄ってきた。


「なに」

「走った? 繁華街で」

「走ったよ。ちょっとだけ」


俺はまっすぐに答えた。

花巻は大きなため息をついた。
俺も正直言うとため息をつきたかった。

花巻は俺の事情を知っているから気にしてくれる。それはわかっている。



「言いたいことは分かる。でも心配しなくていいから、もう結構回復してきてるんだよ」

「嘘。そんなにすぐに治るわけがない」

「もう一年経つんだぞ」

「まだ一年だよ」


ただ心配されてもよくなるわけじゃないんだって。
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