最後の悪夢
〈大丈夫なの?〉
「うん。まあまあ」
〈今一階にいるからちょっと時間かかる。なるべく早く行く〉
「ありがとう」
俺は心から感謝した。
花巻がいてくれて良かった。本当に。
たぶん息切れしているのもバレていたんだろう。画面越しに花巻は、最後にはっきりとした口調で、窘めるように言った。
〈無理しないで?〉
「はいはい」
電話が切れた後、しばらく、床の上で目を閉じていた。
『俺はもう走れないですか?』
『走れないことはありません。ただ今は休んでください。走れば走るほど症状は酷くなります。日常生活に支障をきたすかもしれない』
なにか異変を感じて医者に行ったときの記憶。ああ、あのときは酷く絶望した。
真っ白な部屋。独特な匂い。パソコンを見ながら話す白衣を着た人物は、なにも間違ったことは言っていなかった。