最後の悪夢

それからはなんだか気まずくて、いつものように話せなかった。少し前までただの友達だった。その時の距離感のままでいたいなんて、難しいことだ。



「俺、馬鹿だよ。成績も、体育だけだからさ、5ついてるの。間違っていたことを言ってたら教えてな? 女心とか、わかんないし」



寝る前に凛上が言ったことがやけに耳についた。
成績、そんなによくなかったのか。だからこの合宿に参加したのか、凛上は。でも賢いとかそういうの、どうでもいい気がしてきた。

私だって分かんないよ、バカだよ。
男心とかわからない。でもあなたが間違ったことを言っても、私の好きな人はあなただから、好きな人のことは否定したくないと思ってしまう。


スマホのアラームを早朝に設定する。

朝、あのホテルの前に戻らなければいけない。またタクシーに乗っていくことになるだろうけど。ホテルから学校に戻って、最後の課題がある。なにも聞かされていない。

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