最後の悪夢

そうして、全ての種明かしが河井先輩から――私の部活の元先輩から行われた。


私達が合宿前に打ったワクチン。全てはそれが原因だった。
催眠効果のあるワクチンは、長時間ある“特定の”幻覚を見せる。少し前に現代の技術で、国内でのみ可能になったばかりだ。



これからの社会に必要な人材、それは国語や数学といった簡単な分野で実力を発揮する――のではなくそれ以上が求められていた。状況適応力や精神力を計られていたのだ。



「ある時間に決まって鬼の幻覚を見る。痛覚はそのまま。意識は半分ある状態で、自我を保ちながら行動できる。【最後の悪夢】というのは、ワクチンの効能を確かめるための実験であり、受けた人の人間性も観られる最適のプログラムでした」

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