赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

吸血の赤い天満月

†††



文化祭が終わって1週間。



「それじゃあいただきます」

「はい、どうぞ」



放課後、いつもの校舎裏で潤くんに吸血させる。

先月までは腕からも飲ませていたんだけど、「肌寒いだろうから」と、最近は手の甲から飲ませることが増えた。



「ごちそうさま。いつもありがとね」

「いえいえ、どういたしまして」



気遣ってくれるのは嬉しい。
……でも、やっぱりちょっと飲みにくそうにしてたな。


どうしよう。

これからどんどん寒くなってくるのに、今の時点で手の甲なら……。

手袋の季節が来たら、「寒いだろうから、一口だけにするよ」なんて言ったりして……。

なんなら、「温かい日の時だけもらうよ」とか、「お昼の1回だけにする」もありそうだよね⁉



「潤くん、今日は晴れてるからそこまで寒くないし、腕からも飲んでいいよ?」

「そう? じゃあ少しだけもらおうかな」



腕をまくって彼の前に差し出した。

もう年末まで2ヶ月切ったし……そろそろ次の段階に進んでみようかな。
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