契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました

 大吾さんはドアに向かってまだ頭を下げたままで、その肩にそっと手をかけた。ゆっくりを身体を起こした彼と、自然に視線が合わさる。

「なんか、すみません。思っていた以上に、大げさなことになってしまって」
「いや、全然かまわない。ちゃんと話をしたいと思っていたのは俺のほうだし、それが少し早まっただけだ。それに、八重の本当の気持ちが知れたからな」
 
 大吾さんに顔を覗きこまれる。その目に心まで見透かされているようで、どうにもこうにも落ち着かない。

「本当の気持ち……」
 
 大吾さんが何を言いたいのかすぐに見当がついて頬が熱くなり、それを誤魔化すように俯いた。

「あ、あれは、何と言いますか……」
「俺を幸せにしてくれるんだよな?」
「幸せって……あっ!?」
 
 間髪入れずに抱きすくめられて、身動きひとつできなくなる。
 
 あのときは気持ちが高揚していて思っていたことを言ってしまったけれど、冷静になってみるとかなり恥ずかしい発言だったと今更ながら照れる。



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