契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 表向きは妻かもしれないけれど、本当の妻ではない。でも大吾さんの言葉を聞いていたら、そうなんじゃないのかと信じてしまいそうになる。

「八重だからいいんだ」
 
 決意にも似た真剣な口調でそう言われると、もう拒む理由はなくなる。大吾さんが私と一緒にと言ってくれているのだから、妻だろうと妻じゃなかろうと誰に遠慮することはない。

「はい。私も大吾さんとふたりで飲みたいです」
 
 そうと決まれば、じっとしている暇はない。大吾さんが立ち上がるのを見て、私もソファから腰を上げた。

「八重は座ってていいぞ」
 
 大吾さんは当たり前のように言うけれど、そういうわけにはいかない。

「さっきも言いましたよね。やれるときは一緒に。一緒に飲むんですから、準備も一緒にです」
 
 性格上、ひとりで何もせずおとなしく待っているのは性に合わない。

「そうだったな。じゃあ一緒にやるか?」
 
 そう言った大吾さんが、不意に私の肩を抱く。ほんの少しの距離を移動するだけなのにと思いながらも、こんなちょっとしたスキンシップが嬉しい。笑みを浮かべている大吾さんの横顔を見上げ、くすぐったい気持ちのままキッチンへと向かった。



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