契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「これぐらいでいいか?」
そう言われて、ダイニングテーブルを見渡す。八人は座れそうな大きなテーブルがいっぱいになるほどの料理の数々に、ため息が零れた。
「今日は大吾さんと私以外に、どなたかいらっしゃるんでしょうか?」
「いや、俺と八重のふたりだけだが」
「そう、ですよね」
何かおかしなことでもあるのかといわんばかりの顔をして私を見る大吾さんに、もう一度ため息をつく。
作っているときからおかしいとは思っていたけれど、夢中になって料理をしている大吾さんを見ていたらつい母性みたいなものが働き、あまりの無邪気さに何も言い出せなくなってしまった。
仕方ない。気合を入れていただくしかなさそうだ。
それでも並んでいる料理は、どれも目を引くものばかり。特に真鯛のお刺身は身に脂がのっていて、すごく美味しそう。
「さあ、はじめるか」
大吾さんが雨夜の月をもってキッチンから出てくると、彼が座るであろう場所の正面の席に腰を下ろす。でも大吾さんは怪訝そうな顔をして、自分の隣の椅子を引いた。