【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

 ルネリアが仕えるメアロード家は、辺境にて他国からその土地を、ひいてはこの国を守ることを王家から任されている家だ。軍を持ち、その当主はその軍の最高指揮権を与えられており、領民は軍に入り国に仕えるものの他に、街を栄えさせ生計を立て暮らしている。

 しかしメアロード家は領地の中心部からも遥か遠い、国境近くの崖のようになっている場所にその城を構えている。背後には海が広がり、崖の下は墓地で囲まれていた。そういった周囲の状況から「果ての孤城」とも呼ばれ、中心地から墓地の間は深い森もあり、その手前は牛や豚などの動物を捌く場所ということで、周囲は血の匂いが絶えず、その権威に反して近寄りがたい場所となっている。

 そんな場所を、特に臆することなく歩いてきたルネリアは、頭を捻りながら歩いていた。先ほどから、おおよそ人らしき生き物の気配を彼女は感じ取っているが、その人の気配こそ問題だった。

 ルネリアは領地に入ってすぐ、出会った老夫婦に道を尋ねていた。そして、「どんどん人気のない場所に行けば、それが合っているってことだよ。ここら辺に近いところに出ちまってたら逆走してるってことだから、誰かに聞きな。人がいないのが正解だよ」と教えてもらっていたことで、どんどん自分の方向感覚に不審を抱いていた。
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