【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

「本当にこの道で合っているの……?」

 昼間だというのに空には木々が生い茂り、光一つささない。木々の隙間からは波の音、そして遠目に墓地があるが、それは前も後ろも同じ。ルネリアがまた地図を見つめ進んでいくと、やがて視界が開けてきた。だが、木々が無くなり視界を遮るものは無くなったはずなのに、じめついた、淀んだ空気が周囲を漂っている。周りの木々は枯れ果て地面に身を落とし、色を変え水分を全て奪われたような乾燥した木々が、彼女の足元の音を鳴らしていく。

「合ってる……みたい?」

 しかしルネリアは廃れ、恐怖すら抱きかねない土地を見て、景色とは正反対に心を明るくしていった。足取りも覚束ないものから軽やかなものに変わり、彷徨い歩くような歩みは、意思を持った強いものへと変わっていく。とうとう、目の前には荘厳な城が現れた。
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