【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

「何をしている、着いてこい。お前の時間は有限だ。ぼさっとするな」

 ルネリアが荷物検査を待っていると、グレンは急かすような眼差しを向けた。グレンはルネリアの鞄を開くわけでもなく、ただ鞄を手に持ち進んでいる。

 ルネリアがどうしていいかわからず不思議に思っていると、グレンは「この領地の人間はな、鞄の中身を開かずとも中に何があるのか分かるんだ」と睨み付けるように言って、また階段を上っていく。

「しかし、軽いな。本当に荷物はこれだけか?」
「ええ、衣類と、日記帳と、ペンです」
「宝石やドレスはどうした?」
「え」

 使用人が、平民が宝石やドレスを持つことはない。貴族ではないのだから。自分が元ハーミット家であることを知っているからそういう風に言ったのだろうか。ルネリアが沈黙したことで、周囲には奇妙な間が出来た。
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