【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

「いいか、お前は素晴らしい。絶対に、誰がどんな妬みや嫉妬でお前を乏しめようと、お前の素晴らしさは……!」

 グレンの真っすぐな瞳と言葉に、ルネリアの目が大きく見開かれる。彼女が返す言葉を探していると、グレンははっとして、思い切り飛び退いた。

「あ、あ、め、メアロード家の使用人たるもの、自分を卑下するような真似をするな。堂々としていろ」
「はいっ」

 ルネリアが驚きと感激によって心臓のあたりをぎゅっと押さえていると、その間にもグレンは先ほどより早い足取りで階段を上っていく。

 グレンはそのまま壁に転々と備え付けられ、燭台に照らされた廊下を歩いていく。廊下の柱にも、門と同じ薔薇の繊細な彫刻が施されており、燭台の炎に照らされ薔薇の花弁たちが黒く揺らめいていた。その光景にルネリアが目を奪われていると、グレンはある扉の前で止まった。
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