【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

「えっ」
「なんだ。不満か」

 黙っていたルネリアが声を上げたことで、グレンは険しい顔をした。しかし「ほ、本当にこんな素敵なお部屋を私が使用してもよろしいのでしょうか……」と、震える声で話す彼女を見て、皮肉めいた笑みを浮かべた。

「ふん。世辞を言ったところで金しか出ないがな。……ああ、そうだ。最初に言っておくが隣は私の部屋だ」
「えっ、隣のお部屋……えっ」
「何かあったら呼べ。そして何か不審な真似……そうだ、逃げるような真似をしてみろ、すぐに私に分かるからな」

 念を押すようにグレンはルネリアを睨み、彼女は委縮する。それを見てグレンは「逃げなければいいだけの話だ」と視線を落とした。
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