一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
我慢出来なかったんだと思う。


手で顔を押さえながら…大声で泣いた。


近づくことも、抱きしめることも…


今の自分にはそんなこと出来る資格はないと思った。


ただ、謝るしか…出来なかった。


『…龍聖…君』


泣き顔のまま、瑠奈が言った。


『…何?』


瑠奈が、俺に近づいて来る。


1歩ずつゆっくり…


そして…


『大嫌い!!』


そう言って、平手で俺の頬を叩いた。


『二度と連絡しないで!龍聖君とは会わない。新しい彼氏作って幸せになるから!龍聖君なんか目じゃないくらいイケメンの彼氏…絶対作るんだから…』


瑠奈は、走ってその場を去った。


胸が痛かった。


『ごめん…瑠奈…本当に…幸せになってくれ…』


きっと、あんな言い方して身を引いてくれたんだ。


許して…


でも…


俺には…


もう、何も…ないんだ。
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