一夜の奇跡は真実の愛を灯す~副社長の甘い誘惑に溺れて~
紅月さんは、そう言って、スーツの上着を脱いだ。


ハイブランドのタグがチラッと見える。


きっと、ものすごく高いんだろうって、私にでもわかった。


紅月さんは、気にせず、それを椅子の背もたれに無造作に掛けた。


ねえ、意地悪って…何?


何をするつもりなの?


1歩ずつ近づいてくる紅月さん。


私は、それに合わせるように、1歩ずつ後ろに下がる。


そして…


すぐに行き場をなくしてしまった。


『目の前にいる君の、その唇が…欲しい』


耳元にかかる吐息が熱いせいで、私は何も考えられなくなった。


『目は…開けたままにして…』


唇に柔らかく触れる感触。


一瞬で骨抜きにされ、倒れ込みそうな体。


『だ、ダメ…』


『名前で呼ばない桜桃羽が悪い』


そして…


紅月さんは、激しいキスを…数回繰り返した。


こんなにも胸を熱くする口づけを…
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