一夜の奇跡は真実の愛を灯す～副社長の甘い誘惑に溺れて～

波山さんが、麗央さんのお父様に助けられた？


『当時、私は25歳。ちょうど今のあなたと同じ年齢よ。ちょっといろいろあって、いろんなことに絶望して、何もかも嫌になってた頃のこと…ああ、私ね、これでも昔はもっと痩せてて、そこそこ美人だったわけ』


波山さんは、ケラケラ笑いながら話を続けた。


『一時期、お金が必要で仕方なくホステスしてたんだけど、男に騙されて…何もかも失って。絶望って、こういうことを言うんだって…痛感したわ。そこにね、ヒーローのごとく登場したのが、お店の常連さんだった廉治さんだったの。社長は、早くに奥様を亡くされて、寂しくてうちの店に通ってくれてたんだと思う』


『え…麗央さんにはお母様がいないんですか？』


『そうよ。残念だけど、ご病気でね』


そうなんだ、知らなかった…


やっぱり、私は…


麗央さんのこと、何もわかってない…